ワクワクする職場を目指す
企業の取組
社員が働きやすく、やりがいの持てる職場づくりに取り組む県内企業の取組をご紹介!
奈良で「ワクワクする職場づくり」を実践している企業の生の声をお届けします!
2024.01.31

株式会社タカギ 「働きやすい・やりがいのある職場づくり」

代表取締役社長 髙木麻衣さん/副社長 髙木鎮廣さん
温故知新を経営のテーマにした企業再編・働き方改革など、自社を根本から見直した。業績の黒字化を達成するとともに、企業理念の共有や社内での情報発信、社員へのアンケートや実状に応じた人事評価の更新といった、社員の帰属意識につながる数々の取組を通じて、社員ひとりひとりが最大限の力を発揮できるような職場へと変革させた。



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業務内容を教えてください

髙木麻衣さん:弊社は1930年に創業した女性物を中心としたインナーウェアの製造メーカーです。 糸や布の開発から、デザインパターン、縫製までをすべて自社で行っております。 当初はOEM(※自社以外のブランド製品を生産する)を中心としたメーカーだったんですが、ここ10年から15年の間で自社ブランドの展開を進めBtoBからBtoCの会社へと変わってきています。

 

働き方に対するビジョンを教えてください

髙木麻衣さん:基本的には社員一人一人が自分の持っている力を最大限発揮してもらえるような環境を会社が提供できればいいなと思ってます。会社には若い方々から、年配の方々まで幅広い年齢層の方がいらっしゃって、また割合としては女性が多いとは言えもちろん男性社員もいて、性別も年齢も職種も多種多様となっています。そうなると、それぞれの方々に一律全部同じルールで合わせるのはやはり難しいことだと思うんですね。 それぞれの考え方、生き方があるので、会社もできるだけ最低限のルールだけをしっかりと敷いて、その中で皆さんが力を発揮できるように寄り添う、その基盤を作っていきたいなというのが会社として考えていることです。

 

 

「働きやすい」職場づくりのための取り組みについて教えてください

髙木麻衣さん:フレックス制度やテレワークについてはコロナ禍において多くの企業さんが対応されていたと思いますが、弊社ではコロナ以前よりテレワークそしてフレックスの導入をしておりました。
髙木鎮廣さん:女性と男性の社員比率が8対2という弊社の環境にいて、日本では男女平等だと言ってもまだまだ女性が家事などの時間が求められてしまうと思うんですね。 そのような中でも会社としては社員の方々に活躍して欲しいし、働きやすくして、働き甲斐を持って欲しい。そのためにも働く時間というところであまり縛られずに、自分で調整して働いて欲しいという思いもありましたので、テレワークとフレックスを導入しています。 バリバリ働きたいという方ももちろんいらっしゃるので、そういう方々とのバランスも含めて、評価制度の設計もしっかりやっていこう、と。自分の目標をしっかりと立てて、その目標の達成度を自分自身がまず評価する。それをマネージャーや役員がしっかりと評価して、次の仕事にどういうふうに生かすのか反省も含めて振り返る。そういった評価制度を並行して行うことで、働きやすい環境が実現する。その環境で、社員一人一人がしっかり自分をコントロールするというハードとソフトの両面から取り組んでいます。 働き方を尊重したうえでの評価とフィードバックによって社員がモチベーションを上げていけると考えています。

 

「やりがいのある」職場づくりのための取り組みについて教えてください

髙木麻衣さん:まだ過渡期ではありますが、まずは当会社で働きやすいようシチュエーションに合わせてフレキシブルに動けるような制度を整えて、その中で自分で考えて、自分でどういうふうに動けばいいのか、言われたことをやらされるんではなくて、自発的にできるようにというのが社員の方々に求めてるところはあります。だからこそハード・ソフト両方をやっていきます。 そのような取り組みのなかで、それぞれの生き方に合わせて働いていけるような土台がようやくできたところなのかなと今思っていて、今後それをどのようにこれからの自身のキャリアアップにつなげていってもらえるか。 それを会社は期待してるので、評価面談の際には会社に何を求めるかのヒアリングを社員の方々に対して行い、それを会社にどう取り入れるか制度を組み立てていけたらなと。
髙木鎮廣さん:評価シートというものをまず作成して、それに基づいて半期ごとに社員の方々それぞれに目標を設定していただいて、そして半期が終わってからその振り返り。という仕組みなんですが、評価シートもほぼ毎年作り変えてます。 まず6年ほど前までは評価シートがなかったんですよね。それでは正しい評価もできないですし、皆さんの仕事内容も僕らもわからない。であれば、本当にベースとなるものを初めに作って、使いにくいところ評価しにくいところを見直しながら毎年ちょっとずつ変えてきて、ちょっと来年もちょっと、と。そろそろ大きく作り変えようと役員やマネジャーと今話し合ってるところです。

 

取り組みを始めたきっかけや、その進め方について教えてください

髙木麻衣さん:8割女性がいるのに役職者の女性が1人いるかいないか、部長や課長などのマネージャー職についている女性はいなくて、課長代理とか係長とかというのが現状でした。女性物の肌着を売るのに、男性で占められていた会社になっていて、日本の昔そのままの形になってしまっていた。 そこの構造を変えていかないと、私達が10年後までバリバリやっていかないといけないというなかで、会社にもう人が残っていないような状態になる。 それを変えなきゃ、どこから変えたらいいんだろう、奈良という地域の中で女性に来てもらうためにも変えていかないといけないし、若い人にそれが届かないとその比率も変わっていかない。 平均年齢が変わっていかないととかそういうことを考えると、まずフレックスに働けるとかテレワークができるとか、時短も含めて、女性が働きやすい会社にすることがもう一番の近道じゃないかなっていうのが、一番最初に出てきたところでしたね。 もちろん仕事としてどう実現するのか、営業先との折り合いも含めて、いろんなことをやっていたんですけども、並行的にいろいろやってる中で、そこがすごく今に繋がっているのかなというのは感じます。 実はこれと同じ時期に私が結婚出産を経験して、子供を抱えて仕事をすることの大変さを自分でもすごく感じたので、どうやったらみんなが子育てと仕事を両立できるのか考えるきっかけになりました。そこでフレックスとテレワークをうまく組み合わせればできるんじゃないか、それを実現することで平均年齢がぐっと下がって女性が活躍しやすい会社になるのかなと考えて導入を試みました。

 

社内の反響はどうでしたか

髙木鎮廣さん:もうベテランさんたちからは猛反対で(笑)。コアタイムが11時から15時なので、その時間にいてくれたらいつ来てもらっていつ帰ってもらってもいいです、1ヶ月の総労働時間さえクリアしてもらったら問題ないです、と。 それに対してやはり色んな声があって。私はこの働き方だから、他の部署との連携のためにはこの時間にいてもらわないと困るみたいな。 そういうお声が大分あったんですけども、でもやってみましょうと。導入まで2年ぐらい、いろんな方、いろんな職種の方に試して使ってもらって、それでタカギ流というのをどんどん作っていって、導入したら反対した人も含めてみんな使いまくってますもんね。 フレックスは本当に便利な制度でタカギでよかったということを最近すごく言われるんですよね。 業務の切り分けとか整理とかきっちりしないと、そういうフレックスとかテレワークってできないのかなと思うので、準備期間はとても重要ですよね。結局2年経っても、反対の声はすごく多かったんですが、最後はもう半ば強引に導入しました。 タイミング的にその翌年にコロナ禍が起こって、世の中がフレックスで働きたい、できれば距離感をとって生活したいから、早番遅番という考え方が浸透しましたが、うちはもともとやっていたので、テレワークもすぐにできたんですね。当時は導入にあれだけ反対されていたのに、うちの会社はコロナ禍のなかですぐ対応してくれました、すごいですって言ってもらえたり。 コロナ禍は大変でしたけど社員の皆さんにとって、世の中が大変でもタカギで働くことを考えてもらって、会社が自分たちのことを考えてくれてたし、すごく対応が良くて、働きやすいんだということを実感してもらえるタイミングになって、当時は反対していた方も、私が一番使ってますぐらいの状況になってます。

取り組みに関して大切にしていることはありますか

髙木鎮廣さん:働きやすいとその仕事が厳しくないとは全然別問題だと思うんですよね。僕らも環境として働きやすいフレックスやテレワークといろいろ整えていってますが、でもやっぱり僕らは営利団体である限りは成果と評価に落とし込んでいくじゃないですか。そこでパフォーマンスを上げられない人に対して厳しい評価をやっぱりしなくちゃいけない。そこの理解が得られないとミスマッチが起こってしまいます。 僕らもボランティアではありませんので、一人一人がプロ意識を持って、その人に与えられた仕事をきちっと全うして、会社に貢献してくださるからこそ、働きやすい環境を整える訳で。その働きやすいが先に来て、仕事程々に楽しくやったらええやんっていうのではないんですよね。 働きやすくて女性活躍できる、なんか楽しそうという意識でこられる方は、自立して修正していろいろ考えて動かないと待ってて口開けてるだけでは仕事入れてもらえない、自分で取りに行かなきゃいけない、自分で考えて前に進めなきゃいけない。 もちろんソフト面のところで言うと、研修制度もしっかりと取り入れてはいるんです。

 

取り組みを始めて、会社全体で大きく変わったと感じる事はありま すか

髙木麻衣さん:採用の場面で、奈良、大阪、京都いろんなエリアから営業所が離れた地域も含め、知識と実績を積んでいらっしゃる方が、うちの会社に入ってきたいと希望いただくことがやはり増えました。 通勤距離が長いと、なかなか応募するのにはハードルがあるんですけれども、フレックスが使えたり、自宅で仕事ができる日があるんだったら、週5じゃなくても週3であればこの距離通えるかなと感じて来てくださる。あの制度があるからこそちょっと応募したいという方が、すごく増えたと思います。 志望動機は11の職種とか会社の理念とか、そういうところに共感される方はもちろんいらっしゃるんですけどもそれプラス、制度がすごくいいと応募される方は一番多く感じます。

 

 

今後さらに、誰もがワクワク働ける会社となるための計画や目標が あれば教えてください

髙木麻衣さん:うちの会社は今年で93年、歴史がすごく長い会社なんですね。 その中で、ずっと創業当時から商品づくりをしていこうっていうのをずーっと心がけてやってきていて、それは今も変わらずずっと継続していることです。その技術力とか、日本の歴史とか、そういうものを、もっと発信していきたい。日本全国そして、日本を超えて世界、日本の技術力、日本の製品、また考え方とかも含めて、発信していきたいと思っているんですね。 それが会社の経営とか営業的なところでいうと、しっかりと商品を発信していく。 それで世の中の人たちが、タカギの商品がすごい、心地いいよねと、本当に思っていただけることで、それがまた誇りになって、そんなタカギで私たちは働いているんだという思いを持ってもらいたいなと思っています。今は制度を整えたりとか、自分たちの頭で考えながらどんどん活動して活躍していける人材を作っていきたいという会社の思いが今期でようやく形になってきたので、次はそれをどんどん世界に向けて、タカギを発信していくという思いを今は全社員に伝えていて。それぞれの社員が自分たちのしないといけないことをやってくれているので、それが実現されて、みんながタカギに対する誇りをより持ってもらえるような会社になったらいいなと思っています。